建築物の防火避難規定の解説 2023 [ 日本建築行政会議 ] 価格:4950円 |
問題
解答解説
No.1:用途地域内の用途制限→不適合
理由)
・異なる2以上の地域にわたるため、敷地の過半に属する地域(第二種中高層住居専用地域)の制限を受ける。
<共同住宅及び診療所>
・(に)項のいずれにも該当せず、建築できる。
<パン屋>
・令第136条の6に定める用途で、作業場が50㎡以内で、原動機の出力が0.75kW以下のため、建築できる。
<物品販売業を営む店舗及び豆腐屋>
・500㎡を超えているため、(は)項以外で、また、1,500㎡も超えているため、建築できない。
根拠規定)
・法第91条
・法第48条第4項
・法別表第2(に)項
・令第130条の6
・法別表第2(は)項
No.2:建蔽率→適合
理由)
・異なる2以上の地域にわたるため、建ぺい率は敷地面積の加重平均による。
・特定行政庁指定の角地で、準防火地域内の耐火建築物のため、建ぺい率に2/10を加算する。
<建築面積の限度>
(5/10+2/10)×23/35+(6/10+2/10)×12/35=257/350
1,925㎡×257/350=1,413.5㎡
<計画の建築面積>
1,078㎡≦1,413.5㎡:適合
根拠規定)
・法第53条第1項
・法第53条第2項
・法第53条第3項
No.3:容積率→適合
理由)
・異なる2以上の地域にわたるため、容積率は敷地面積の加重平均による。
<延べ面積の限度>
20/10×23/35+30/10×12/35=820/350
1,925㎡×820/350=4,510㎡
<計画の延べ面積>
・以下は床面積に算入しない。
EVシャフト:(9㎡×5)+(6㎡×2)+(9㎡×2)+(6㎡×2)=87.0㎡
共同住宅の廊下等:24㎡+12㎡+(28㎡×7)+(14㎡×4)+(12㎡×4)=336.0㎡
宅配ボックス(1/100まで):21.0㎡≦4,634㎡×1/100=46.34㎡
よって、すべて算入しない。
・計画の延べ面積
4,634㎡-87㎡-336㎡-21㎡=4,190㎡≦4,510㎡:適合
根拠規定)
・法第52条第1項
・法第52条第7項
・法第52条第6項
・令第135条の16
・令第2条第1項第四号
・令第2条第3項
No.4:北側高さ制限→不適合
理由)
・異なる2以上の地域にわたるため、それぞれの地域ごとに制限を受ける。
・法第56条の2による条例の指定はないため、第二種中高層住居専用地域は制限をうける。
・高さの算定は、地盤面からによる。
<階段室屋根>
限度 8.85m×1.25+10m=21.0625m
計画 24.2m>21.0625m:不適合
根拠規定)
・法第56条第1項第三号
・法第56条第5項
・令第2条第1項第六号
No.5:道路高さ制限(南側A道路、東側B道路)→適合
理由)
・容積率の限度が675/350≒19.285/10より、
近隣商業:適用距離20m以下、勾配1.5
第二種中高層住居:適用距離20m以下、勾配1.25
・道路の反対側の境界線は、後退距離だけ外側の線とする。
・第二種中高層住居専用地域において、幅員が12m以上の場合、前面道路の反対側から後退距離だけ外側が、幅員に後退距離の2倍を加えたものに1.25を乗じた以上の区域においては、勾配は1.5とする。
・幅員の最大な道路境界線から、幅員の2倍以内かつ35m以内、及び、その他の道路の中心線から10mをこえる区域(以下、区域αとする)は、最大な道路幅員を有するものとみなす。
・高さの算定は、路面の中心からによる。
・屋上の階段室 28㎡≧1,078×1/8=134.75㎡
よって、12mまで高さに算入しない。
<南側A道路>
近隣商業
・6階屋上
3m+14m+3m=20m≦20m:適用内
限度 20m×1.5=30.0m
計画 21.2m≦30.0m:適合
第二種中高層住居
・6階屋上
3m+14m+12m=29m>20m:適用外
<東側B道路(区域α内)>
近隣商業
・6階屋上
1.85m+14m+1.85m=17.7m≦20m:適用内
限度 17.7m×1.5=26.55m
計画 21.2m≦26.55m:適合
第二種中高層住居
・6階屋上
1.85m+14m+1.85m=17.7m≦20m:適用内
(14m+1.85m×2)×1.25=22.125m>17.7mより勾配1.25のまま。
限度 17.7m×1.25=22.125m
計画 21.2m≦22.125m:適合
根拠規定)
・法第56条第1項第一号
・法別表第3
・令第130条の11
・法第56条第2項
・法第56条第3項、第4項
・法第56条第6項
・令第132条
・令第2条第1項第六号
No.6:共同住宅の用途に供する部分の内装制限→適合
理由)
・計画建築物は、耐火建築物で、共同住宅の部分が3階以上で300㎡以上あるため、特殊建築物としての内装制限を受ける。
・住戸は、200㎡以内ごとに耐火構造の床、壁及び特定防火設備で区画されているため、適用除外。
・エントランスホール、EVホール、風除室、宅配ボックス、共用廊下、階段室1は、壁及び天井の仕上げが準不燃材料又は不燃材料のため、適合。
・集会室は、無窓居室のため内装制限を受けるが、床面積が50㎡以下であるため、適用除外。
・計画建築物は、階数が3以上で500㎡を超えるため、規模による内装制限を受けるが、共同住宅は高さが31m以下であるため適用除外。
よって、適合。
根拠規定)
・法第35条の2
・令第128条の4第1項
・法別表第1
・令第128条の5第1項
・令第128条の3の2
・令第128条の4第2項
・令第128条の5第4項
No.7:防火区画(異種用途区画:店舗部分)→不適合
理由)
・計画建築物は、店舗部分の2階が500㎡以上あるため、店舗部分とその他の部分とを異種用途区画しなければならない。
・店舗部分は耐火構造の床、壁で区画されているが、EVホールを区画する扉が特定防火設備でないため、不適合。
根拠規定)
・法第36条
・令第112条第18項
・令第112条第19項第二号
・法第27条第1項第二号
・法別表第1(は)欄(4)項
No.8:直通階段の数及び歩行距離(売場2、住戸4)※売場2の歩行距離についてはA及びB店を審査→適合
理由)
<直通階段の数>
売場2
・物品販売業を営む店舗が1,500㎡を超えており、避難階以外の階(2階)に売場を有するため、2以上の直通階段が必要である。
→2以上の直通階段があり、適合。
住戸4
・共同住宅の床面積が200㎡(耐火構造)を超えるため、2以上の直通階段が必要である。
→2以上の直通階段があり、適合。
<歩行距離>
・計画建築物は、主要構造部が耐火構造で、居室及び地上に通ずる廊下等の壁及び天井の仕上げが準不燃材料以上のため、歩行距離は10m加算され、売場2は40m以下、住戸4は60m以下としなければならない。
・重複距離は、歩行距離の1/2以下にする必要がある。
売場2(A点)
・歩行12.4m+7.8m+1m=21.2m≦40m:適合
・重複0m≦20m:適合
売場2(B点)
・歩行7.1m+13.9m+6.3m+1m=28.3m≦40m:適合
・重複7.1m≦20m:適合
住戸4
・歩行12m+1m+20.9m+3.7m=37.6m≦60m:適合
・重複12m+1m=13m≦30m:適合
根拠規定)
・法第35条
・令第117条第1項
・令第121条第1項第二号、第五号
・令第121条第2項
・令第120条第1項
・令第120条第2項
・令第121条第3項
・令第116条の2第1項第一号
No.9:排煙設備の設置(店舗用倉庫1、住戸、パン屋の更衣・事務室)→不適合
理由)
・計画建築物は、物品販売業を営む店舗及び共同住宅の特殊建築物で、500㎡を超えているため、排煙設備を設けなければならない。
<住戸>
・200㎡以内で耐火構造の床、壁及び特定防火設備で区画されているため、適用除外。
<店舗用倉庫1>
・高さ31m以下にあり、壁、天井の仕上げが準不燃材料で造られ、令第112条第19項第一号に規定する特定防火設備で区画されているため、適用除外。
<パン屋の更衣・事務室>
・高さ31m以下にあり、床面積は100㎡以下であるが、令第112条第19項第一号に規定する防火設備等により区画されておらず、また壁、天井の仕上げが不燃材料でないため、適用除外されない。
→排煙設備が設置されておりず、不適合。
よって、不適合。
根拠規定)
・法第35条
・令第126条の2
・平成12年告示第1436号
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